以前のセクションでは政治、経済、文化などの問題について解説しました。その主な目的は抽象思想と形象思想が異なる哲学思想モデルが社会に対し、あらゆる分野で深く影響を与えていることを説明することで、東洋・西洋医学が異なる医学理論体系の歴史の根源と思想文化の根源を説明するため、必然的に針刀医学出現の歴史を説明しなければなりません。
針刀医学は、医学の分野で東洋と西洋の文化を融合させ、一体となり行います。今日まで歴史が発展してきたように、東洋人も西洋人も自己の思想に固執したり、相手の思想の吸収を拒絶すると活路は見いだせなくなります。いま、世界の偉人で声高に相互に学ぼうという呼びかけはありません。西洋人は、我々は東洋文化を真剣に学び、21世紀が東洋人の世紀かもしれない、と言い、東洋人は、我々は西洋人の先進的な物を学び、たち遅れた物を排除し、再び輝きを取り戻せる、と言っています。過去20年間における中国の偉大な改革事業の本質は、西側の先進的な管理、経験と科学技術から学び、西洋文化体系の中の優れた点を学び、中国の国情と結合し（これは東洋文化の思想を継承し推進することでもある）、目下世界で独特な中国の特徴を形成し、この事で中国は大きな発展を遂げました。
現在、東半球の人類と西半球の人類は、意識的或いは無意識的に、東洋文化と西洋文化を融合する作業を行っています。今日の世界の発展は、東洋と西洋の文化を融合するためのあらゆる可能性と条件を提供しています。人類がより高い段階への発展を望むなら、東半球と西半球が孤立していた数千年の間に人類が築き上げてきた東西文化を統合し、人類の最高の文化体系である「地球文化」となるよう革新しなければなりません。
地球文化は人類を更に高い段階へと推し進め、その形成と整備には一世代から数世代の努力があり可能です。その時、その影響は人類生活のあらゆる面に及び、例えば政治、経済、科学、芸術、軍事、論理、道徳、法律などです。
今日の世界では、東洋、西洋の有識者だけではなく、東西文化の融合を行い呼びかけ、地球文化の創造をして、東西文化の大融合時代が到来し、これは避けられない歴史的潮流です。針刀医学はこのような歴史的背景の元で、東西医学の融合、創造し、東洋医学でも西洋医学でもない、新たな医学理論体系を形成しました。それは伝統的な東洋医学と西洋医学を起源として、伝統的な東洋医学と西洋医学の全ての優れた成果を吸収および応用し、それらを再構築して新しい世界的な医学理論体系を形成しました。
以上の論述から分かるのは、針刀医学が筆者の突発的なインスピレーションで創造されたものではなく、時代の産物ということです。仮に筆者がこのような医学理論体系を創造していなかったら、他の誰かが創造したでしょう。
参考文献：朱汉章,针刀医学原理,人民卫生出版社:2002