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慢性軟部組織損傷疾患に関する概説

慢性軟部組織損傷疾患の概説サムネ

 人体の全ての組織構造を軟硬の観点から分類すると「硬組織」と「軟部組織」に分けられます。硬組織構造の主なものは骨性組織です。
 軟部組織構造の範疇は比較的広く、例えば筋肉、靭帯、腱鞘、滑液包、関節包、筋膜など、これらが著者のいう軟部組織です。さらに血管、神経、リンパ管、内臓、大脳、小脳、橋、延髄、脊髄なども軟部組織の範疇に属します。

 人体の全ての生命活動と多種多様な仕事は、相応する軟部組織が参与して可能となります。一方で人体は外からの全ての外力を処理する時(風に吹かれる、雨に打たれる、予測しない寒さや暑さ、細菌や毒素に感染)、まず始めに当たる軟部組織が最も関係が深いです。そのため、軟部組織が突発性の損傷、蓄積する損傷、侵害性の損傷を受けることは避けられないのです。ゆえに軟部組織損傷の発生率が高いのはごく自然なことであるといえます。

 急性軟部組織損傷疾患は緊急処理として働き大抵の場合、その目的は命の危険を避けるためです。しかし、急性軟部組織損傷があり、急性期を過ぎると慢性化します。あるいは軟部組織損傷が慢性化の起点となることさえあります。慢性軟部組織損傷のメカニズムは複雑で、臨床表現もまた複雑でその病因病理の研究結果を知ることは極めて困難です。更に今のところ慢性軟部組織損傷の真の病因がはっきりしない中、いくつか慢性軟部組織損傷の学説が出現しました。
 各種の学説は一定の道理があり、客観的な根拠があります。しかし問題は様々な学説に基づいた治療計画、考案された各種の治療法は根本的に慢性軟部組織損傷の治療が出来なかったことです。このように慢性軟部組織損傷の治療は医学的に一つの大きな難題となりました。更に国連はこのことを世界三大難病(癌、心脳血管疾患、慢性軟部組織損傷)の一つとして分類しています。

 慢性軟部組織損傷疾患の治療の問題点を解決するには、まずこの真の病因が何なのか、次に学術的観点から説明すると慢性軟部組織損傷の概念、範囲、生理・病理変化の過程を明らかにしなければならないと考えています。これらは極めて重要です。針刀医学は慢性軟部組織損傷に対して20年以上に渡り臨床研究を行っています。慢性軟部組織損傷は基本的に人類の健康範囲を最も広く損ない、数は極めて多く、最も多くの疾病、出勤できない原因となり社会的に大きな影響を与えています

 慢性軟部組織損傷その一つの概念として内包しているのは軟部組織が様々なパターンで損傷後、治療中、自己修復過程の中で、特定条件下で新しい軟部組織損傷疾病が発生するということです。すなわち慢性軟部組織損傷疾病です。その※外延は一種の時間がかかる慢性疾病です。従って慢性軟部組織損傷疾病の病因病理を研究する必要があります。まず一般的な軟部組織損傷の病因病理及び進行過程を研究する必要があります。そうして全ての慢性軟部組織損傷の真の病因を突き止めることが可能になります。またそれがどうして慢性化するのか、その根本的な部分も研究しなければなりません。

※外延…論理学で、概念が適用される事物の集合。例えば、惑星という概念の外延は水星・金星・地球・火星・木星・土星など。

参考文献:朱汉章:针刀医学原理,人民卫生出版社,2002

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