概説
１,２章で述べたのは、西洋医学の困惑と東洋医学の差し迫った現代化についてでしたが、実際、20世紀の人類文明の飛躍的な発展という条件下で起こりました。もし、私たちが200年前に遡ったら、中医学と西洋医学のレベルは人々を大いに満足させるでしょう。今日、既に21世紀に入り、人類文明の飛躍的な発展により、全人類の生活水準は比べ物にならない程高くなり、人々が医療のレベルに対する要求もまた更に高くなり、医学は人類の生活水準に適応した水準となり、現代医療水準は前に大きく推し進める必要があり、そのため、西洋医学の困惑や東洋医学の差し迫った現代化という問題が出現したのです。
物質文明
16世紀に人類が産業革命の第二の波を引き起こして以来、産業革命は飛躍的に進歩し、19世紀末にはその波は地球上の隅々まで押し寄せました。20世紀に入り産業革命は、更に高速化し、特にこの50年間は、全世界でほぼ１日に１つは大きな科学技術の成果があり、生産に応用され、生産力の高さは空前のレベルに達しました。従って、人類は莫大な物質的富を生み出し、人間の生活水準を大幅に向上させ、世界中のほとんどの人が過去の封建社会の皇帝にとって困難だった生活を享受できるようになりました。
例えば、普通の人は冬でも寒くなく、夏でも熱くなく、豪華な住宅で機能は完備され、外に出ると雨に濡れずに歩き、馬に乗り、瞬く間に自分の生きたい場所に行けます。暴風、強風、酷暑極寒だろうと人間に侵入するのは難しいです。地球が征服され、自然も征服されたかのようです。そのため、人類は自然界から益々遠ざかり、いわゆる文明病が発生し、これまで人類で見られなかった奇病が数多く発生し、また優れた生活環境により、人類はより良いサービスを必要とするようになりました。現在の医療レベルでは満足させるニーズに応えられず、人類の医療ニーズを満たすために、医療は大きな前進を余儀なくされているようですが、その打開策は何でしょうか？
近年、人類が自然に回帰するという声は益々高くなっています。医学が始まってから、人類は自然療法を信じ始め、損傷が無い、苦痛が無い、合併症が無い、後遺症が無く、かつ治療効果が良い医療を望んでいます。この大きな目的を達成するには、ただ一つの方法、すなわち、今存在する医療成果の研究を全面的に刷新し、体系的に、全面的に整理することです。「いらない物を取り除き、必要なものを取り出す」「真偽を選別する」「現象から本質に及ぶ」などを加えて整合し、伝統的な思想方法を調整し、創造を加えて人類の新しい理論体系と医療大系を形成し、このようなことをしてこそ、21世紀の飛躍的に発展した生活文明に適合できるのです。
精神文明
物質文明の飛躍的な発展は、人類の精神文明生活もまた極めて大きく向上させました。大多数の人は単純な物質だけでは満足せず、精神的な部分を享受することに注意を払うようになりました。例えば、美しさの追求には、顔の美しさだけでなく、スリムな体型や軽快な歩き方も求められ、私たち医師には病気を治すだけでなく、傷跡を残さず、機能的に完璧に保つことが求められます。そうするには、現在の医療方法では困難であるため、人類の医療理論と技術を全面的に変革しなければなりません。
参考文献：朱汉章,针刀医学原理,人民卫生出版社:2002