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北京堂鍼灸伊東

針刀解剖学

針刀解剖学

 閉合性手術は開放性手術に比較して難度が高いことが多いです。開放性手術は直視下で行われ、閉合性手術は非直視下で行われます。このため閉合性手術は開放性手術と比べてさらに高い技術が要求されるのです。まず、詳細な部分まで解剖学の知識があって、手術の準備ができ健康で正常な組織の損傷を減少させます。仮に詳細な解剖学の知識が無いと、針刀で閉合性手術を行うことは想像できませんし、操作することは不可能です。

 系統解剖学と局部解剖学、及び微小解剖学は西洋医学の外科学と手術学の解剖学を基礎として定められ、西洋医学の開放性手術のアプローチと病変部の手術操作は大きな解剖学のサポートを提供しました。しかし、筋肉、筋腱、靭帯、筋膜など軟部組織が骨面の起始停止部位の認識に関しては、その位置を明らかにする以外、その部位が引き起こす病変及びそれらが関係する疾病の中で表現される病理変化は、まだ系統的な論述がありません。針刀医学理論と実践の絶え間ない考察をするにつれて、針刀閉合性手術の臨床は応用され、並びに針刀医学が慢性軟部組織損傷や骨質増殖の病因病理学に対して新しい理論を創立し、慢性軟部組織損傷や骨質増殖および一部の慢性内臓疾病の真の原因と病理変化は人体内の骨と軟部組織の力学解剖構造が平衡失調の後、病変部位の軟部組織の癒着、痙縮、瘢痕を形成し、骨関節周囲の軟部組織の硬化、カルシウム化、骨化の形成に対し、自己調節と自己修復を行います。
 この種の調節や修復が自己の限度を超えると、或いは経由する軟部組織の中の血液や神経が圧迫されると臨床症状が出現します。軟部組織の癒着、痙縮、瘢痕、及び骨質増殖の大部分は軟部組織が付着する骨面上に発生します。同時に病理構造の網目理論に基づくと、慢性軟部組織損傷と骨質増殖、及び一部の慢性内臓疾病の発病メカニズムは、受傷した軟部組織の病変部位から癒着、瘢痕が形成されはじめ、軟部組織の走行ラインの力学的平衡に影響を与え、また一つの部位に数多くの軟部組織が相互に重なり合い、入り混じっており、一つの軟部組織損傷が次第に点が線になり、線が面になり立体的ネットワーク状の病理構造を形成します。軟部組織の起始停止部位の損傷は最も多く見られます。ゆえに骨表面の軟部組織の解剖位置と軟部組織の経由するラインを修得して初めて針刀でその部位の正確な治療が可能になり、それにより疾病が治癒するのです。
 例えば肩甲骨烏口突起の頂点0.8㎠の平面上には5つの重要な解剖構造があり、これらの構造は西洋医学の外科ではあまり重要ではないと言われていますが、十分に重視すれば発病させることはありません。しかし、針刀医学ではこれらを非常に重視していおり、ある人は疼痛が発生する根本的な原因の場所であると述べています。例えば、烏口突起の外側1/3に上腕二頭筋短頭が起こり、烏口突起の中央1/3に烏口腕筋が起こり、烏口突起の内側1/3に小胸筋が停止します。上腕二頭筋短頭炎は上腕二頭筋短頭が付着する烏口突起の部位の癒着と瘢痕であり、これは一つの単独な軟部組織損傷と成りえます。網目理論によると病状が進むにつれて上腕二頭筋短頭の癒着は烏口腕筋起始部と小胸筋停止部の癒着と瘢痕を引き起こし、臨床上烏口腕筋損傷と小胸筋損傷の症状が出現します。
 仮にこの骨表面に対する解剖の事をよく分かっていなければ、この原因の場所が分からず、この類の疾病をどのように治療するのかというのも分からないのです。このため、著者は針刀医学の基礎理論を礎として、今まで大量の臨床研究を行い、針刀解剖学の概念を打ち出しました。

針刀解剖学の定義:力学の観点から骨と軟部組織の形態構造を研究し、骨と軟部組織間の力学の連携を明らかに示し、針刀医学が疾病の診断と治療に対して指導する。これは包括的に人体弓弦力学体系、断面解剖学、病態解剖学、体表評価学などである。

参考文献:吴绪平,针刀医学临床研究,中国中医药出版社:2011

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