MENU
北京堂鍼灸伊東

瘢痕の本質

瘢痕の本質サムネ
目次

针刀医学による解説

 人体が各種の損傷を受けた後、自己回復を行っている過程で癒着を引き起こしやすいという以外に、損傷が比較的重度な人で癒合の後、内部瘢痕と外部瘢痕を形成します。外部瘢痕ははっきり見ることが出来ますが、内部瘢痕は隠蔽されます。しかし、これはかえって重度な慢性軟部組織損傷疾病の主な病理要素の一つとして引き起こされるのです。

 西洋医学の病理学の認識では損傷後、組織の自己修復は炎症反応期、細胞増殖分化期、組織修復再建期を経過し完成します。急性炎症反応期と細胞増殖分化期の後、損傷部は肉芽組織を産生し、その成分は大量の線維芽細胞を含み、それらの細胞は元々コラーゲンを分泌しますが局部で膠原線維を形成し、最終的に線維芽細胞が線維細胞に変化します。膠原線維が大量に増加するにつれて毛細血管と線維細胞は減少します。それにつれて肉芽組織は緻密な瘢痕組織に変化します。3週間後、膠原線維の分解作用は次第に強くなり、3か月後に分解、吸収の働きは明らかに増加し瘢痕は一定程度縮小し柔らかくなります。軟部組織(筋肉、筋腱、靭帯、関節包、腱周囲組織、神経、血管など)損傷の自己修復過程の中で筋肉、筋腱線維、関節包などの組織は往々にして再生不全となり、代わりの結合組織が主導して修復します。そこで出現する瘢痕を完全に吸収することはできません。病理学の観点から見ると瘢痕の大部分は結合組織がガラス様に編成し、病変部位は半透明、灰白色で性質は強靭です。線維細胞は明らかに減少し、膠原線維は増え、太くなり進行すると均一で揃ったガラス様の形状になります。この種の瘢痕は損傷組織自身や損傷周囲の組織器官が機能する時に影響を与えません。これは人体の一種の自己修復過程なのです。しかし、仮に瘢痕がかなり大きい、かなり多いという状況であったら組織器官の機能障害が発生し、針刀治療が必要になります。

日本の病理学における解説

 炎症による組織障害の程度が強かったり範囲が大きい場合や、再生しない組織細胞が損傷された場合に起こる結果です。更に著明な線維素性滲出があり、完全に吸収できないと結合組織の成長により器質化され、その結果、塊状の線維組織、瘢痕が形成されます。

参考文献
朱汉章,针刀医学原理,人民卫生出版社:2002
吴绪平,针刀医学临床研究,中国中医药出版社:2011
北川昌伸,標準病理学,医学書院:2023

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次